今回は成増周辺のNo.1を決める「成-1グランプリ」の第一弾として「激坂編」をお届けします。
成増は非常に坂が多く、成増在住の方はお出かけするにもなるべく坂がない道を通るように工夫されているのではないでしょうか(まして、ベビーカーを押す場合などは本当に大変です)。
そんな坂だらけの成増にあって、この坂を登るのは絶対に避けたいという斜度が10度を超える激坂があったりします。
普段、生活していると「不便だな〜」と思う激道だったりしますが、そんな激坂を楽しもうというのが今回の企画です。
成増周辺の激坂を紹介していくとともに、その中でNo.1決めていきます。
栄えある「最強の激坂」に輝くのはどの坂でしょうか!?
なぜ成増には坂が多いのか!?
まずは本題に入る前に、そもそも何故成増に坂が多いのかを地理的な背景を踏まえて触れてみたいと思います。
成増は非常に坂が多く、南口側も川越街道に出ると東西に成増坂がありますし、旧兎月園の池があった周辺(豊渓中学校あたり)もすごい坂があったりします。
成増駅北口も坂に関しては負けてはいません。というか、北口のロータリーを出ると殆どがアップダウンだったりして、成増3,4丁目は坂だらけです。
こうした坂だらけの地形はどのようにしてできたのでしょうか。
板橋区成増は武蔵野台地と荒川低地の境目に位置しています。
武蔵野台地(成増台周辺)の地層は表層部分は関東ローム層が約10m、その下層には礫層が4メートル堆積して形成されています。
そうした地層を長い年月をかけて白子川、や荒川が削り取っていきました。そうしてできたのが、成増周辺の崖(段丘)であり、そこに坂郡が形成されました。
当区の高台は武蔵野台地の一部です。
この台地は数万年前、古い荒川や多摩川などが流れるはんらん原でした。武蔵野(成増)礫層の砂利は当時の川が積み残した川砂利です。
その後、川の流れはこのはんらん原を掘り下げ、今の荒川や多摩川に、とり残された部分に富士山などの火山灰(関東ローム層)がたい積し、今日の台地をつくりました。また礫層の下の地層から貝化石がみつかりますが、これは15万年前の東京層のもので、この層がかつて海の底であったことを物語っています。
測定方法
測定には携帯アプリの「バブル」を使いました。無料アプリで手軽に斜度を測ることができます。
坂の計測は坂の中央に対して、上段、中段、下段の3箇所を測定することにしました。というのも、坂の傾斜は場所によって違うので、一点だけだと不十分ですが、たくさん測りすぎると子供が飽きてしまうので、3点計測することにしました。
計測結果
①於玉ヶ池のV字谷(豊渓中の北西の大きく窪んだ坂道)
成増CYCLEひねもすさんにご紹介頂いた旭町の激坂を計測してきました。
川越街道から現地に向かうとジェットコースターのようなV字谷があります。谷の入口の信号名は「豊渓中学校入口」です。
谷の底に当たる場所は窪地になっております。雨上がりに訪れると付近の駐車場ではよく水が溜まっています(写真の奥に見えるのは暗渠です)。
戦前はこの周辺に兎月園という娯楽施設の池(於玉ヶ池)があったそうです。
【なりますスコープ】成増には遊園地があった!?〜兎月園の池を探せ〜 – なりますチャンネル (narimasu.tokyo)
結果は8.4度でした。
②旧中村内科クリニック前の激坂
株式会社鈴商開発さんが教えてくださった「旧中村内科クリニック前の坂」に測定に行ってきました。
この坂は早朝小中学生が通学に使っているのを見ますが、あまりの斜度に大人が歩いて登っている姿はあまり見ません(まして自転車で登る人もほとんどいません)。
坂を登り始めたあたりが最も斜度がきつく、11.0度という高スコアになりました。
③成増幼稚園へ続く激坂
坂本あずまお区議から頂いたのは音羽台レジデンスから成増幼稚園に通じる激坂。ここは子連れの方々が必死に登る姿を何度か見たことがあります(ママチャリで登られる方や中にベビーカーを押す方も、本当に大変💦)。
急傾斜で滑り止めのボコボコがついています。
坂の登り始めて少しの場所でなんと11.2度という斜度になりました!
④成増5丁目公園横の激坂
成増5丁目公園の横のマンション(リビオ成増)に囲まれた坂もかなりの激坂です。滑り止めのボコボコがついています。
リビオ成増ができて引っ越してこられた子供連れの方が、ベビーカーでこの坂を登るとめちゃめちゃ大変だと伺ったことがあります。
結果は8.4度となりました。
⑤シティテラス前の車輌通行止坂
成増北口は坂だらけですが、特にこの激坂は急です。成増北口通りのシティテラスの少し手前を和光市側に入ったところにあります。
斜度がめちゃめちゃ高く、見上げるような坂です。
結果は12.8と過去最高の数値を叩き出しました。
この坂はあまりの斜度に車両通行止の看板が出ています。
⑥白子の滝坂
成増CYCLEさんに紹介頂きました。
どこまでも続く長い坂です。白子川側付近から和光市の高台まで一気に登ります。
下から見てもどこまでも続いていることが分かります。この坂の下に住むおばあちゃんにお話を伺いましたが、休まずにこの坂を登れるかが健康のバロメーターだそうです。
ちなみに、この坂には小島家湧水という湧き水が溢れんばかりに出ています(坂のてっぺんから中腹にかけて小島さんの邸宅があります)。
結果は10.6度でした。
斜度もさることながら、非常に雄大な坂でした。
⑦旧川越街道の大坂
和光白子にある激坂です。かつては川越街道の一部だったそうで、旅人が往来していたそうです(白子宿はこの坂を登る前の休憩地として最適だったのでしょう)。斜面は公園(大阪ふれあいの森)になっていたりします。
道が蛇行しているため非常に登りづらいです。
結果は斜度10.0度となりました。
蛇行する坂道なので、y軸の進行方向だけでなく、x軸も歪んでいたりします。
【番外編】赤塚露頭の急階段
三園から溜池公園に向かう途中にある崖に設置された階段です。車道ではないので審査対象外ですが、番外編ということで斜度を測ってみました。
ちなみに、この坂は知る人ぞ知る場所で、マンションができる前は「成増露頭」として古生物学や地質学の重要な実習地でした(東京23区内でも有数の段数と高低差を誇る坂です)。
結果は35.0度。
階段ということもありますが圧倒的な斜度でした。ちなみに、階段を降りたあたりは崖の北側で日照時間が少ないためか冬に通ろうとすると底冷えします💦
【グランプリ】成増周辺の最強の坂
「成-1グランプリ〜坂編〜」ということで成増周辺で最も急な坂を探しました。
成増周辺ということで、成増や旭町、三園、白子の激坂を子供と一緒に測定してきました。
審査基準としては以下のとおりです。
- ①車両が通ることができる幅を有する坂※階段坂は対象外。
- ②斜度が最も高い坂※計測結果のy軸のみを考慮。なお、同程度の傾斜であればx軸や高低差を複合的に考慮する。
こうした審査基準に照らし合わせると、栄えある成増周辺の最強の激坂は「⑤シティテラス前の車両通行止め坂」になりました。
最大傾斜は12.8度。
この激坂はあまりの斜度に車両の通行が制限されていたりします。そのため、実は審査対象外にしようかとも悩みました(その場合は「③成増幼稚園へ続く激坂」が選定される可能性がありました)。
そんなある日、散歩していると坂の上部にある住居から車両通行止めの看板を避けて車が出てきたので、完全に通行止めではないことがわかりました(住民の方は車の出し入れされますよね)。そして、No.1が決まりました。
最後に
今回は「成-1グランプリ」の第一弾として「激坂編」をお届けしました。
結果としては、シティテラス前の車両通行止め坂がNo.1に輝きました。
ただ、審査基準に照らし合わせればNo.1は決まりますが、一つ一つの坂に個性や歴史がありますし、きっと成増の住民はそれぞれにそこを登ったり降ったりした思い出があることでしょう。
なので、本当はそれぞれの坂にそれぞれの良さがあり、そうした多様な坂が成増を形作っているのだと改めて感じ入りました。
普段はともすると鬱陶しくも感じる成増周辺の激坂ですが、今回の企画を通じて一つ一つの坂を計測するにつれ坂が好きになりました。
みなさんもよかったら、家のそばの坂を測ってみませんか。坂が好きになるかもしれません😆
※今回計測対象となった坂は、皆さんから教えていただいた坂などが中心になります。そのため計測していない斜度の高い坂があるかもしれません。もし、心あたりがあれば教えてく頂けるとありがたいです☺
後記
今回の企画を通じて様々な坂を子供と一緒に巡りました。
もともと子供は成増は坂が多すぎて自転車を気軽に乗れないと、坂に対してネガティブな印象を持っていたそうです。ただ、今回の企画を通じて子供が徐々に坂に関心を持つようになってくれました。今では、アプリで家の中の様々な場所の角度を測って遊んでいます(家の床が斜めになってる!?)。
加えて、武蔵野台地や荒川低地などの成増の坂郡の地理的や歴史的背景も触れることができて、少しは学びにも繋がったかな(親の希望!?)。
成−1グランプリの第二弾は何にしようかな〜。文化や歴史、また地域の方々との交流のきっかけになる対象がいいと思っています。もし、おすすめがあったらコメントで教えて頂けると嬉しいです。