【成増スコープ】成増で最も子供の事故が起こりやすい場所はどこか!?~成増の地形が深く関係!?~

成増は武蔵野台地の端にあることもあり地形的な多様性が高く、坂が多かったり、見通しの悪い曲がりくねった道もあったりしています。

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こうした複雑な地形は子供の交通事故が発生しやすい場所であったりもします。

そこで、今回は「成増で最も子供の交通事故が起こりやすい場所はどこか?」という点を調べてみました。

※本記事は子供と夏休みの自由研究を兼ねて調査してみました。

参考にした資料~警視庁交通事故発生マップ~

子供の事故発生状況を調べるために警視庁が作成する交通事故発生マップを参考にさせて頂きました。

交通事故発生マップ | 地図表示 (wagmap.jp)

また、成増駅前交番の杉山さんや高島平警察署の交通安全課の、区議会議員の近藤タカヒロさんにもお話を聞いてみました。

子供の交通事故の発生状況

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子供の交通事故発生状況は警視庁の交通事故発生マップから入手することができます。具体的には、2018年から2023年上期までの5年半にわたるデータを閲覧することができます。

以下では、「成増駅周辺」、「成増駅南口」、「成増駅北口」の3つの箇所に分けて「子供の事故発生頻度が高い場所(具体的には2018年から2023年上期までの5年半で複数回子供の事故が発生している事故現場)」を実地調査をしながらまとめていきます。

成増駅周辺~成増小学校前交差点~

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成増駅周辺で子供の事故が複数回発生しているのは一カ所あります。

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成増小学校の正門から赤塚高台に続く赤塚高台通りと川越街道の交差する「成増小学校前交差点」です。ウェルマカベさんの前の交差点ですね。

ここでは2018年と2019年に2年連続で子供の交通事故が発生しています。

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子供の事故を含む負傷事故の全数を表示すると上図のようになります。毎年非常に多くの事故が発生している事故多発地点であることが分かります。

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ここの交差点には以下の3つの特徴があります。

  • 成増駅から続く下り坂から赤塚方面への上り坂の谷に位置する交差点であり川越街道沿いに走る車両はスピードが出やすい。
  • 小学校に近い場所であり子供が川越街道を横断することが多い。
  • 成増小学校の正門から赤塚高台に続く「赤塚高台通り」は高島平方面から光が丘方面への抜け道として利用されるためスピードを出している車両が多い。※赤塚高台通りでは2022年に痛ましい死亡事故が発生しています。

成増駅南口~兎月園通り~

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成増駅南口方面で子供の事故発生が複数回発生しているのは1カ所該当しました。

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旭町小学校、豊渓中学校の裏手にある「兎月園通り」です。

2018年と2020年に事故が発生していることが分かります。

この通りには以下のような特徴があります。

  • 川越街道から光が丘公園に抜ける道でありスピードを出した車両が多い。
  • 小学校や中学校、また区民館が近くにあるため子供が多い。
  • 道が低く谷になっているため坂道と交差する交差点が多く、自転車がスピード出したまま交差点に突入することがある。※この道と並行してかつては光が丘公園から兎月園まで川が流れていたこともあり、低地を通る道となっている。兎月園や地理的特徴についてはこちらにまとめてあります。
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兎月園通りについて、子供の事故だけではなくの負傷事故の全数を表示すると上図のようになります。毎年のように兎月園通りで事故が発生していることが分かります。

実際に現地を訪れた際も川越街道から緩やかな坂道をスピードを出して走ってくる車が多く見受けられました。加えて、この緩やかな坂道は曲道となっているため見通しも悪かったりしますので、事故が多い特徴を備えた道なのかもしれません。

実際、2022年には兎園通りの豊渓中学校の裏手あたりで痛ましい死亡事故が発生しており、この道の危険性が改めて示唆されました。

ワゴン車が高齢の男性ひき逃げか 自転車ごと引きずりの目撃 | NHK | 事故

成増駅北口~天神下公園前交差点~

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成増駅北口方面で子供の事故発生が複数回発生している場所は1カ所あります。

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成増が丘小学校から坂道を下った場所にある「天神下公園前交差点」です。

2019年、2020年、2021年に3年連続で事故が発生しています。

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子供の交通事故だけではなく負傷事故の全数を表示すると2019年に1件、2020年に3件、2021年に1件、計5件の事故が発生していることが分かります。

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交通事故が発生しやすい特徴として以下の3つが挙げられます。

  • 公園前であり子供たちが集まる場所であること。
  • 地理的に谷になっており、複数の坂道が交差しており車両のスピードが出やすいこと。
  • 十字路に百々向川緑道が交差しているため複雑な交差点になっていること。

実際に現地を訪れるとスピードを出した車や自転車が通行していることが分かりました。

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成増が丘小学校から降りてきた車両は長い坂道をスピードを出して下ってきますが、この地は谷になっており天神下公園前の交差点から上り坂に転じるのでスピードをつけたまま坂道を登りたいという動機が働くためか、ブレーキをかけずにこの交差点に差し掛かる傾向がありました。

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また、成増4丁目から下る坂道は非常に急であるため自転車に乗り始めた子供がこの道を利用した場合にブレーキをうまく使えないと交差点で止まり切れない場合もあるかと感じました。

考察~子供の交通事故が起こりやすい場所の特徴~

ここまでで成増周辺で子供の交通事故が起こりやすい場所を警視庁の事故発生マップから調べ、実地調査を行ってきました。

加えて、高島平警察署の交通総務課に事故の起こりやすい場所についてもヒアリングをしてきました。

すると、子供の事故が発生しやすい場所には以下の3つの共通点があるように感じましたので、以下に考察してみます。

特徴①子供が多く集まる場所

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子供の事故が多い場所は子供が多く集まる場所の近くにある印象を受けました。小学校や中学校の近くであったり、また、公園が近隣にある場合もあります。

こうした場所は子供の往来が多いため自ずと事故が多くなることが考えられます。また、友達と一緒に行動している場合などは注意が散漫になりがちで車両への注意を怠ってしまうことがあるかもしれません。

子供の事故が起こりやすいのは小学校から下校後に友達と遊んでいる時が一つ挙げられます。一人の時は車や自転車に注意が行くのですが、友達と遊んでいる時はどうしても注意が散漫になる傾向にあります。そのため、下校後に子供たちが遊んでいる公園の周辺では事故が多いです。

高島平警察署の担当官

特徴②川が作り出す谷

今回調べて事故発生地点の多くは谷という特徴を持っていました。これは成増が武蔵野大地と荒川低地の境目にあるという地理的特徴によるところが大きいように感じます。

武蔵野台地と荒川大地に境目にあることから成増周辺には湧水が至るところから出ています。そうした湧水は成増の低地を流れて白子川に注いでいます。

具体的には、成増南口で事故が頻発する「兎月園通り」は光が丘公園(旧御玉が池)から兎月園に続く暗渠に沿った道です。また、北口で事故が頻発する「天神下公園前の交差点」は百々向川が暗渠になった百々向緑道と交差している場所です(赤塚第二中学校の坂を下ったT字路も同様です)。

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さらに言えば、成増駅周辺で事故が頻発する「成増小学校入口交差点」は(現在では西友成増店の建設に伴い百々向川は断絶されてしまいましたが)かつてはすぐ近くをもいずれも百々向川が流れていました。実際、交差点から少し赤塚川に進むと庚申塚がありこの地にあった「橋」についての記述があります。

このように、今回事故が発生した場所はいずれも暗渠(川)の傍にあり、川の侵食作用が作り出した谷という地理的特徴ということがありました。谷に差し掛かる車両は坂道を下る際に、上り坂に備えてスピードを落とさずに谷に差し掛かる傾向があります。こうしたスピードを出した車両が多いことが谷の地形において事故が頻発する一因だと考えられます。

加えて、兎月園通りに代表されるように、川のように昔からある道は車が走る前からある昔ながらの道が多いことから曲がりくねった見通しの悪い道が多いことも事故が発生する一因になっているものと推察されます。

成増は坂や曲がりくねった道が多い土地です。坂ではスピードが出やすく、また、曲がりくねった道は見通しが悪く判断が遅れます。川沿いの谷という地形はまさにその両者を備えていることがあり、事故が発生しやすい場所の一つです。

高島平警察署の担当官

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子供の夏休みの自由研究の資料

実際、事故発生マップにおいて子供の事故を含む負傷事故全体で事故多発地帯を改めて調べてみると百々川緑道沿いの「谷」という地理的特徴を持つ場所で事故が頻発していることが分かります。

以下では、そうした地点の例として「赤塚第二中学校前の下り坂と百々向川緑道の交差点」を紹介します。

赤塚第二中学校前の下り坂と百々向川緑道の交差点

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子供の交通事故こそ発生していませんが、赤塚第二中学校の坂を下って百々向川緑道との交差するT字路も直近で事故が頻発していいます。2023年上半期に1件、2022年に2件の負傷事故が発生しています。

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この交差点は以下のような特徴があります。

  • 地理的に谷底の場所で、赤塚第二中学校の坂とアリエスからの坂、成増ハイライズからの坂が交差しているため車両がスピードを出しやすい。
  • 百々向川緑道と交差しているため通常のT字路に比べて複雑な交差点となっている。
  • 成増4丁目方面から駅に向かう道であるため交通量が多い。
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上記の特徴は「天神下公園前の交差点」やにも共通しているように感じました。つまり、「百々向川」と交差しているため道が複雑であり、また、川が通る標高が低い地形であるため谷となっておりスピードを出した車両が通過しやすいという特徴です。

自転車に乗り始めたばかりの小学生はブレーキの使い方がうまくありません。小学校で自転車教室を開催することがあるのですが、自転車を止める際にブレーキではなく足で止めようとする子供を見ることがあります。通常の平地であれば足でも止まるかもしれませんが、坂道においてはブレーキの使用は不可欠です。子供のブレーキ操作を上達させることが事故防止につながるかもしれません。

特徴⓷抜け道をスピードを出して走行する車両

成増は高島平から川越街道につながる抜け道や川越街道から光が丘につながる抜け道があります。

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成増から高島平に抜ける抜け道は三園から赤塚高台や成増小学校前を通って光が丘公園につながる「赤塚高台通り」があります。また、川越街道から光が丘につながる抜け道には「兎月園通り」があります。

こうした抜け道では車両がスピードを出して通行する傾向があり、重篤な事故につながるリスクが高まります。

実際、2022年の年末には立て続け「赤塚高台通り」と「兎月園通り」において2件の死亡事故が発生しました。いずれの事故も車両がスピードを出していたこともあり、通行者と接触したことに気づかず数百メートルにわたって被害者を轢きずる非常に痛ましい事故でした。

こうした事故が二度と起こらないことを祈っております。

抜け道は車両がスピードを出して走行する傾向があります。車両が停止するまでの停止距離は空走距離と制動距離を合計して算出します。時速40キロで走行する車両はブレーキを踏むまでの空送距離が11m、ブレーキを踏んでから停車するまでの制動距離が11mですので、停止距離は22mとなります。つまり、自動車が障害物を発見してから停止するまでに、時速40キロで走行する場合は22m要します。時速60キロであれば44m、時速80キロであれば76mとなります。このように、自動車がスピードを出していればいるほど停止するまでに時間がかかることから事故が起こりやすく、また、衝突時の被害が大きくなることが分かります。

高島平警察署の担当官

交通事故を予防する方法

次に、こうした交通事故を未然に防ぐための予防策について成増駅前交差点の杉山さんや高島平警察署の交通安全課の方々にヒアリングしてみましたので、以下にその内容をまとめてみます。ご協力頂きまして大変ありがとうございました。

予防方法①交通事故が発生しやすい場所であることを明示する

死亡事故が発生した場所では「死亡事故発生現場」という看板が出ることになっています。こうした交通事故故発生地点の見える化は昔から行われている事故予防に向けた効果的な方法だそうです。

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気を付けて道を歩いていると「死亡事故発生現場」という立て看板や「事故に関する情報提供のお願い」に関する立て看板が立っていることがあります。

こうした立て看板を見ると自分も事故を起こさないように気を付けようという意識が働くそうです。

子供の事故発生を防ぐために大切なこととして、大人がどこで事故発生しやすいかを理解して子供に共有することです。そのためにも、自宅近隣で事故発生リスクが高そうな場所を大人が理解し、日ごろから子供とお出かけをする際に子供に気を付けるように話すことが大切です。
また、子供との日常の会話の中でも、子供が出かける際に「どこに行くの?誰と行くの?」と聞いて、「あそこの交差点は事故が多いから気をつけなさいよ。それに友達と一緒にいると注意がおろそかになるからね。」と伝えるなど、ちょっとした会話の工夫で事故が防げることがあります。

高島平警察署の担当官

予防方法②車両のスピードを下げるための仕組み

事故を未然に防ぐためには車両のスピードを下げることが大切です。

車両スピードと事故の被害は比例関係にあります。物理では物体のエネルギーは速度の二乗に比例することが知られていますので、車両スピードが高くなればなるほど衝突時の衝撃は大きくなります。

車両スピードを下げる方法としては以下のようなものが利用されています。

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こちらは本蓮沼にある首都高の高架下の道路にある道路幅を減らして車両スピードを抑制する装置です。

近隣では見つかりませんでしたが、道路の表面に工夫をする取組も行われているそうです。例えば、横断歩道が浮き上がるような仕組みがあります。

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型押しアスファルト

また、海外ではアスファルトにレンガ調の模様を付けているそうです。道路面がアスファルトからレンガに変わると少し慎重になってスピードを落とすかもしれませんよね。

予防方法⓷自転車や歩行者の飛び出しを防止するための仕組み

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子供の事故の多くは飛び出し事故によるものだったりします。そのため、子供が飛び出しを防止することは事故抑制にとってとても大切です。

こうした方法の一つとして、柵を設置することが考えられます。

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富士食品のすぐそばにある白子川にかかる橋は事故が多発する地点です。(事故発生マップを警視庁が作成している関係で埼玉県警の管轄の情報がないのですが、)事故情報収集の立て看板が立っていたりします。

この場所には数年前に白子川沿いの歩道に柵が設置されました。

予防方法④子供たちへの啓蒙活動

子供たちに交通安全の意識を植え付けることも大切な事故防止の方法です(この記事も子供と一緒に作成しているのでまさに子供への啓発です)。

高島平警察署の方にヒアリングをしたところ、学校や幼稚園等での交通安全教室や自転車教室など様々な啓蒙活動をしていることが分かりました。

成増小学校ブログ: 第3・4学年 交通安全教室 (narimasu-elementary.blogspot.com)

実際、子供と一緒に高島平警察署の交通総務課を訪れた際には子供の交通事故について様々なお話を伺わせて頂きました。

既に色々と警察官の方からお伺いした内容は引用させて頂いておりますが、一点付け加えさせて頂くと事故にあった際の被害を少なくするためのヘルメット着用を推奨されていました。

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2023年4月から自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務となっています。現在板橋区ではヘルメットの購入にあたって最大2,000円の補助金が給付されますので、この機会に購入されていては如何でしょうか。

最後に

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今回は成増周辺で子供の事故が起こりやすい場所を警視庁の事故発生マップを参考に実地調査を行いながら記事にまとめました。

その結果、成増周辺では以下の3箇所が特に危険な場所であることが分かりました。

  • 成増駅周辺「成増小学校前交差点(赤塚高台通りと川越街道の交差点)」
  • 成増駅南口「兎月園通り」
  • 成増駅北口「天神下公園前交差点」

こうした子供の事故多発地点を実地調査する中でいくつかの3つの特徴があるように感じました。

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  • 子供たちが多く往来する場所 
  • 武蔵野台地と川の侵食作用が作り出す谷という複雑な地形
  • 高島平、成増、光が丘をつなぐ抜け道

こうした特徴から車両がスピードを出す傾向にあることや見通しが悪い道も多いことから状況判断が遅れるといった事故が発生しやすい特徴があることが分かってきました。

さらに、警察署の方々へのヒアリングも通じて交通事故が発生しないための仕組みつくりについても教えて頂きました。

なりますは地理的な特徴もあり事故が発生しやすい場所が多く存在しています。こうした場所を事前に知っておくことで事故を回避できるといいな~という想いから今回調査をしてみました。

きっと、そんな想いは一緒に調査をした子供にも伝わっているといいのですが(子供は、夏休みの自由研究を学校にもって行ったけど、誰も質問してくれなかったと文句を言っていました💦親の想いは伝わっていない⁉)

この記事を書いた人